本記事は、数字に注目してニュースを深堀りし、数字に強いビジネスマンを目指す日報シリーズです。
今回は「日本のキャッシュレス決済」について。
日経新聞の2023年4月4日の記事をベースに「日本と世界のキャッシュレス決済普及状況」をざっくり考察していきます。
キャッシュレス決済初の100兆円超え 22年、QRが急伸 – 日本経済新聞 (nikkei.com)
日本のキャッシュレス決済の現状(記事要約)
上記の2023年4月4日の日経新聞の記事をポイント3つに絞って要約します。
①2022年キャッシュレス決済額は過去最高
2022年の日本のキャッシュレス決済額は、総額111兆円(前年比17%増)で過去最高を記録しました。
※キャッシュレス決済=クレジットカード、電子マネー、QRコード決済
総額111兆円の内訳は下記の通りです。
- クレジットカード:93.8兆円
- QRコード決済:7.9兆円
- 電子マネー:6.0兆円
- デビットカード:3.2兆円
QRコード決済が前年比50%増と急増しており、初めて電子マネーを上回る結果となっています。
②欧米と比較するとまだ低いキャッシュレス比率
2022年の決済全体に占めるキャッシュレス決済の比率は36%で、この数値も毎年上昇しているとのこと。
しかし、米欧のキャッシュレス決済比率は6割ほどであり、まだ高い水準とはいえない状況。
③キャッシュレス決済の普及を後押しした要因
キャッシュレス決済の普及を後押しした要因は下記が考えられます。
- 新型コロナによる現金に対する衛生面の不安
- マイナンバーカード発行によるマイナポイントの付与
- 決済端末を設置する店舗の増加
実際、各店舗に設置される電子マネーの端末台数は2022年末に707万台となり、5年前の約3倍にまで増加しているよう。
日本と海外のキャッシュレス決済比較
増加傾向にある日本のキャッシュレス決済ですが、世界各国と比較すると、まだ普及率は高いと言えないようです。
国別キャッシュレス決済比率一覧
上に記載した通り、日本のキャッシュレス決済比率は3割を超えましたが、世界各国のキャッシュレス比率は下記のようになっています。
国名 | キャッシュレス決済比率 |
韓国 | 94.7% |
カナダ | 62.0% |
中国 | 60.0% |
オーストラリア | 59.0% |
シンガポール | 57.6% |
スウェーデン | 48.9% |
アメリカ | 47.0% |
フランス | 44.8% |
ドイツ | 17.9% |
国ごとに決済手段内訳は異なるようですが、5割以上の比率になっている国も多いことが分かります。
※出典:経済産業省(2021_001_04_00.pdf (meti.go.jp))
日本でのキャッシュレス決済普及させるには
では、日本のキャッシュレス決済普及をさらに加速させるにはどうしたら良いのでしょうか。
キャッシュレス普及には政策が関与する
海外の事例を見ると選択肢は3つほどに絞られます。
- 現金を使わせない政策(現金禁止 等)
- キャッシュレス決済を使わせる政策(キャッシュレスによる税負担軽減 等)
- 革新的に便利なキャッシュレス決済サービスの登場
①~③の全てが、海外では実在する事例です。
私個人の考えとしては、日本に合うのは②だと思われます。
①は高齢者の多い日本で、現金の利便性を落とす形の政策は受け入れられがたいため現実的ではないかと。
(一部東京ドームなどでは、現金使用不可が始まっていますが。)
また、③は既にキャッシュレス決済サービス飽和状態の日本で、独自優位性を出すサービスが出てくるのは非常に難しいと思われるので厳しいかと。
どちらかというと、QRコードの統一化等のバラバラの規格を取りまとめる動きが今後進んでいくのではないかと思われます。
デジタル給与が日本のキャッシュレスを変える
2023年4月からは、デジタル給与の運用が開始されます。
現状、経産省の調査では全体の6割が「利用しようと思わない」と回答しているようですが、海外の事例からすると普及は間違いないと思われます。
なぜなら韓国では、キャッシュレス使用者への税負担軽減政策が実在しているからです。
日本も給与から天引きされる所得税等で優遇される政策を、デジタル給与と組み合わせることとで、更にキャッシュレス決済の比率は高まるのではないでしょうか。
現金は管理コストも発生することから、国としてはキャッシュレスに移行したい思惑があるようで。
今後の政策、デジタル給与の普及も注視していきたいと思います。