2022年10月20日の日経新聞に蚊に刺されやすい人、皮膚に特定の臭い成分多く 米研究という記事が掲載されていました。
要するに、「蚊に刺されすい人の皮膚に存在する臭い成分を特定したよ。」というニュースです。
内容はもちろん、特定するための実験方法がとても面白いので、画像付きで分かりやすく解説したいと思います。
蚊に刺されやすい人が持つ成分が明らかになりつつある
実験方法の説明に入る前に、蚊に関する知識を少し復習してみましょう。
知らないと恥ずかしいレベルのものも含まれていますが参考までに。
これまで明らかになっていた蚊に刺されやすい人の特徴
これまでに提言されていた「蚊に刺されやすい人」の特徴には以下のようなものがあります。
蚊に刺されやすい人の特徴
- 体臭が強い人
- 血液型がO型の人
- 二酸化炭素を排出している人
- 体温が高い人
どれも正しいとされていますが、今回の記事で取り上げられているのは「①体臭が強い人」の話です。
今回の実験結果から分かったこと
今回の実験では体臭成分のうち、複数のカルボン酸化合物が関与している可能性が示唆されています。
このカルボン酸化合物は皮膚に存在し、皮膚に住んでいるバクテリアによって生産されているとのこと。
体を洗うことで一時的には落とすことができるそうですが、バクテリア(皮膚常在菌)が残っている限りは簡単に変化するものではないようです。
蚊に刺されやすい人が持つ物質を明らかにした実験方法
では本題の「どのようにして蚊を引き寄せてしまう特定の化合物を特定したか」を解説していきます。
前提知識:蚊は臭いの受容体を複数種類持っている
ポイントになるのは蚊が持つ「臭いの受容体」です。
蚊は受容体という臭いの検知器官を大量に持っていて、それぞれ1つの受容体には1つの臭い物質が結合できます。
実験方法:特定の臭いを感じられない特殊な蚊を用意した
さて、今回の研究では「どの臭い物質が蚊を引き寄せる原因になっているのか」を調べることが目的でした。
そこで研究チームは、受容体を1つずつ失わせた蚊を用意します。
蚊を引き寄せる臭い(物質A~Cを含む)に、これらの個体が引き寄せられるかを実験しました。
実験結果:AとBを感じられない蚊は引き寄せられなかった
結果は「物質Aと物質Bを感じ取れない蚊は、本来引き寄せられるはずの臭いに近づかない。」というものでした。
蚊の種類 | 結果 |
蚊(正常) | 引き寄せられた |
蚊(Aなし) | 引き寄せられなかった →Aは引き寄せるのに必要な物質 |
蚊(Bなし) | 引き寄せられなかった →Bは引き寄せるのに必要な物質 |
蚊(Cなし) | 引き寄せられた |
この実験結果から、AとBの物質は蚊を引き寄せる上で必須の物質だったことが分かりました。
今回の実験ではこのようにして、特殊な蚊を使うことによって蚊を引き寄せる原因物質を特定していったのです。
まとめ:蚊を引き寄せてしまう人は体臭にも注意
今回は下記記事の内容を基に、生物学実験の手法についてまとめてみました。
蚊に刺されやすい人、皮膚に特定の臭い成分多く 米研究: 日本経済新聞 (nikkei.com)
蚊に刺されやすい人は体臭が原因である可能性が高いですが、自分の体臭はなかなかわからないのが難点です。
今はこんなサービスもあるようですので、本記事を読んで自分の体臭を確認してみたくなった人は一度試してはいかがでしょうか。