今回の記事のテーマは「2021年夏にサラダ油が値上がりする理由」です。
ここ最近、急にニュースになった「サラダ油の値上げ」ですが、なぜ値上げに至るのか疑問に思ったため、調査の上で本記事を作成するに至りました。
本記事では以下ような疑問にお答えします。
- なぜサラダ油が値上がりするのか?
- 原因の天候不順って何が起きてるの?
- サラダ油の原料って何?
- キャノーラ油の名前の由来は?
偉そうに「解決できる疑問」と書いていますが、私自身も昨日までは、値上がりのニュースを見ながら同じような疑問を感じていました(笑)
簡単に調べてみると、サラダ油について色々と面白いことが分かってきたので、理解しやすいようにまとめていきたいと思います。
※記事の最後には振り返りのクイズも掲載しているので、ぜひ挑戦してみてください。
サラダ油が値上がりする理由はカナダの異常気象
2021年の8月、日清オイリオグループやJーオイルミルズ、昭和産業の3社が、サラダ油などの食用油の値上げに踏み切るというニュースが流れました。
値上げ幅は、1キログラムあたり50円以上ということで、自炊をする人にとっては少々気になるニュースだったのではないでしょうか?
この食用油の値上げには大きく2つの要因があります。
- コロナ渦からの経済再開に伴う需要回復
- 原材料の産地であるカナダの異常気象
このうち特に影響が大きいのは、②の異常気象だと言われています。
サラダ油の原材料の1つである菜種を生産するカナダでは、2021年6月末に49.6度という驚異的な気温を観測しています。
この熱波により、菜種の生産量が落ち込むことが予測され、菜種の価格が高騰したのです。
結果として、菜種を原材料とする食用油も値上げが避けられないという状況に陥り、日本だけでなく世界各国で値上げが始まっています。
さて、ここまでが今回の値上げの概要ですが、今後の食用油の価格への影響を考える中で、おそらく以下のような疑問を持つ方もいるのではないでしょうか?
- カナダ以外の国からの菜種の供給はどうなっているのか?
- 今回の熱波はどうして発生したのか?
そこで、この2点についても簡単に補足したいと思います。
カナダ以外の国からの菜種の供給量
まずはサラダ油の原材料の1つである「菜種の輸入」について調査しました。
カナダでの異常気象が原因であれば、値上がりの期間に影響を及ぼす要因として「他の国からの菜種の供給」が挙げられると考えたためです。
今回は農林水産省の統計資料を基に、サラダ油に使われる「採油用の菜種」の輸入量を国別にグラフにしてみました。
驚くことに、日本の菜種の輸入はほぼカナダに依存していました。
※MTはメトリックトンという単位で、日本では通常のトンと同じ意味です。
実際、日本でもよく見るキャノーラ油は、カナダでセイヨウアブラナ(菜種)から品種改良によって生まれた「キャノーラ種」を原料としていることが名前の由来となっています。
輸入はカナダに依存している以上、頼みは国産の菜種ですが、こちらは生産自体は行われていますが、年間で2,000トン弱という少ない生産量となっています。
これらのことから、今回のカナダでの熱波の影響は、日本の食用油にかなり大きな影響を与えることが予測されます。
熱波により、今後の菜種収穫量にどれだけの影響が出るかは未知数ですが、食用油を日常的に使う人は継続して情報を追っていきたいところです。
カナダを襲う熱波の原因は地球温暖化?
最後にカナダを襲っている熱波の現状について、常識として知っておきたい範囲の情報をまとめておきたいと思います。
冒頭にも記載しましたが、カナダでは2021年6月末に、平年並みの気温より20度以上高い49.6度という最高気温が計測されています。
この影響は農作物に限ったことではなく、カナダのブリティッシュコロンビア地方では500人ほどの死者を出したと報告されているのです。
今回の熱波の原因は異常に発達した高気圧の存在だと言われています。
通常であればアメリカの南西部(カリフォルニア州など)で発生する高気圧が、更に発達した状態でカナダとアメリカの国境付近に生じ、熱波をもたらしたのです。
専門家の間では地球温暖化による影響を原因に上げる声もあるとのことで、私たちの住む日本でも、今後異常気象が増加していくことは覚悟しなければならないのかもしれません。
まとめ「異常気象の多発に思うこと」
今回はサラダ油の価格高騰というニュースから、最終的には異常気象にまで話が及びました。
確かに最近は、日本でも例年とは状況が違う気候、それに伴う自然災害が見られるようになりましたね。
個人的には2020年代後半~2030年代を目標として、各国で脱炭素の動きがあるのは良いことだと思いますが、このような異常気象のニュースを見ると「もっと早く我々にできることはないのだろうか?」と考えてしまいます。
食用油の値段はもちろんですが、世界各国での異常気象、自然災害のニュースにはアンテナを張り、自分の身を守るために何ができるのか考えておきたいところです。
このブログでは、このようなニュースの解説や読書からの学びなどを発信しています。
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サラダ油、値上げ。
なんで値上げ?って思いませんか。ちょっとした出来事も、詳しく調べてみると面白いんです。
今回は勢い余って貿易統計まで調べてしまいましたが、おかげで深めの考察ができてます👨🏻💻#ブログ #勉強垢 #22卒と繋がりたい #23卒と繋がりたい https://t.co/N5EPFR550V— わかものラボ|若者向けメディア (@wakamono_labo_) October 19, 2021
知識を定着させるクイズと参考文献
カナダで発生した熱波により、原材料の菜種の価格が高騰したため。
異常に発達した高気圧が発生したこと。長期的な視点では地球温暖化も原因に挙げられている。
菜種を含む9種類の植物油。カナダで品種改良された菜種の一種であるキャノーラ種から作られる食用油を「キャノーラ油」と呼ぶ。
- キャノーラ油とは?原料やサラダ油と違いは?体に悪い・危険と言われる理由についても紹介! | ちそう (chisou-media.jp)
- カナダで49.5度、アメリカで54度 – 世界を襲う熱波 その原因と対策は – 国際環境NGOグリーンピース (greenpeace.org)
- 49.6度カナダの異常熱波は日本でも起きる「人為的な温暖化が原因」放置すれば千年に1度が5年に1度に(木村正人) – 個人 – Yahoo!ニュース
- 北米に「1000年熱波」カナダ西部は47.9度で2日連続の国内記録(森さやか) – 個人 – Yahoo!ニュース
- ‘Heat dome’ probably killed 1bn marine animals on Canada coast, experts say | Canada | The Guardian
- (8)なたね:農林水産省 (maff.go.jp)
- 農林水産物輸出入統計:農林水産省 (maff.go.jp)